お家でできる、デンタルケアのススメ

遠くからでも人間の姿を見つけると、一目散に駆け寄ってきてくれるワンコ。でも口を開けてハァハァ息をすると強烈な臭いに鼻が曲がりそうになったことはありませんか?

膝の上で丸くなってスヤスヤと、天使のような寝顔を見せてくれるニャンコ。でもアクビをした瞬間、悪魔のような口臭に思わず眉をしかめてしまったことはありませんか?

英語のスラング(俗語)にはなりますが、dog breath という表現があります。口が臭いことや、口臭のキツイ人を罵る意味で使うようです。それくらい「犬の息というものは臭いものだ」と広く認識されているのでしょう。ただ、ここに大きな誤解があるのですが、本来、犬の口はまったく臭くありません。無臭です。

実際に当院で歯科処置(歯石除去、スケーリング)を実施された患者様ご家族からは驚きの声を頂きます。「すごい! まったく臭くない!」と、皆さん大喜びされます。そんなご家族の喜んでいる姿を見ている動物もなんだか嬉しそうです。私たちは「これが本来の姿なんですよ」とお話します。

動物の口臭の原因として歯石が付いてしまうことがひとつ挙げられますが、これをいかに防ぐことができるか、これが自宅でのデンタルケアにかかっています。食べかすが歯垢(プラーク)となり、そこに細菌が感染すると石灰化という現象が起こり歯石になります。まだ歯石になる前のプラークの段階であればブラッシングなどのケアで取り除くことができますが、一度石灰化して歯石となってしまったものは容易に取り除くことはできません。どうしても全身麻酔下での歯石除去が必要になってしまいます。

歯磨きは、理想は人間と同じ、毎回の食事の後にできると良いのですが、さすがに1日に何度も歯磨きするのは大変という方もたくさんいらっしゃいます。1日1回でもいいんです。2−3日に1回でも構いません。週に1回でも月に1回だって、やらないよりマシです。無理なくできるときでいいので、ぜひチャレンジしてみてください。

最も効果的なのは歯ブラシを使ったブラッシングなのですが、日頃から歯磨きに慣れていないワンちゃんネコちゃんはいきなり歯ブラシを口の中に入れられるとビックリして、なかなか上手にさせてはくれません。(怒られて引っ掻かれないように注意してください)

そこで最初はゆっくりでもいいので、徐々に慣らしていくことが必要です。また、効果はブラッシングには及ばないかもしれませんが、人間の指にはめるタイプのグッズもあります。デンタルグッズは病院にもいくつかご用意がありますのでご相談ください。

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