熱中症の季節がやってきます

5月から熱中症が急増しています

暑くなると心配なのが熱中症ですが、実は4月から発生が見られ、なんと5月からは急増しているのです。命を脅かすことも多い熱中症。症状と対策、予防法をご紹介します。

最も危険なのは…

最も危険な時期は7~9月、車内や散歩中などでの発生が多くなっています。特に車の中は、ほんの数分の間であっても温度や湿度が上がりやすく「ほんのちょっとだけ」といった油断が命取りになるケースも少なくありません。

 

意外なところでも発生

熱中症を起こすのは炎天下ばかりではありません。意外なところにも危険性が潜んでいます。

人がいるリビング

人が快適に過ごせていても、犬にとっては暑いということがあります。人は汗をかいて体温を調節しますが、犬は肉球でしか汗をかけずハァハァと呼吸することで体温を下げています。人より暑さに弱いので、エアコンなどかけた室内で一緒に過ごしていても犬だけ熱中症になることがあります。

暗くなってからの散歩

暑い日は「涼しくなってから」と陽が落ちてから散歩に出かける方も多いのではないでしょうか。そんな場合にも注意が必要です。犬たちの歩く高さでは、コンクリートの地面やアスファルトの熱気が意外に残っている場合があります。

雨上がり

一見、打ち水のように気温を下げる効果があって熱中症予防によさそうですが、湿度が上がるため逆に危険な場合があります。

こんな子は要注意

●短頭種(フレンチブルドッグ、パグ、シーズー、ペキニーズなど)
●肥満
●シニア犬、病気がある犬
●北方が原産の犬種(ハスキー、サモエド)
●興奮しやすい性格

鼻が短い、皮下脂肪が多い、全身の生理機能が衰えているなどの犬は、上がってしまった体温を元に戻すのが難しいことがあります。また、元気すぎて興奮しやすい子も体温が上がりやすいので気を付けましょう。



予防法

おうちで過ごす時

室内環境を整える

温度26度以下、湿度50%以下になるように調節しましょう。遮光のカーテンを使ったり、扇風機で室内の空気を循環させたりするのも効果的です。お留守番の時もエアコンは切らないようにし、ケージはエアコンの風が直接当たらない場所に置くようにしましょう。自分で涼しい場所に行けるようにする、凍らせたペットボトルを置いておく、といった工夫もあります。

水は2か所以上用意する

飲み干したりこぼしたりしたときのために、複数の水飲み場があると安心です。

お外に出かける時

お散歩は早朝に

大変ではありますが、1日の中では日が昇る前が1番気温が低くなっているので、お散歩はその時間にすませられると良いですね。

出発前に

犬の背の高さまでしゃがんで、手のひらを近づけることで地面付近の温度を確かめることができます。アスファルトが熱くないか直に触ってみるのも良いです。

お出かけ中は

こまめな水分補給を心がけて下さい。またお散歩コースも、日陰や風通しの良い道を選ぶと良いでしょう。「今日は暑いな」と感じられる日には、犬の様子がおかしくないか常に観察することもお忘れなく。

お散歩の途中でもクールダウンを

水浴びで涼ませてみたり、保冷剤を布で包んで首に巻くのも有効です。興奮しやすい性格の子は、興奮しすぎてしまわないように、落ち着かせながらお散歩を楽しんで下さいね。


熱中症かも!その症状は??

体温が上がると犬は荒い呼吸をして体温を下げようとします。毛細血管が拡張するため舌や歯茎が赤く見え、下痢・嘔吐を起こすこともあります。

対処が遅れると、体の血液凝固系に異常が出て血尿、血便、チアノーゼ(舌が青くなる)などを起こしたり、多臓器不全と呼ばれる非常に重篤な状態にまで至ります。最終的には肺に水がたまることによる呼吸困難、脳や神経の障害による意識障害やけいれんなどを起こします。人でも怖い病気ですが、犬でも非常に死亡率の高い緊急疾患のひとつです。


対処法

熱中症は時間との勝負です。熱中症かもしれないと思ったら、まずはとにかく犬の体を冷やし、なるべく早く動物病院に連絡してください。

水をかける

お風呂場や冷房の効いた部屋など涼しいに連れていき、全身に水をかけます。氷水などで冷やすと体の表面だけが冷えて内側に熱がこもるため、普通の水でOKです。太い血管が通っているところ(わき、内股、首)を冷やすと効果的です。

水を飲ませる

自力でお水が飲めるようであれば、水分補給を行います。無理に飲ませると肺に水が入る危険があるため、飲める時だけで大丈夫です。

動物病院へ

体を冷やす応急処置をしながら動物病院に連絡し、診察を受けに来てください。来るまでの間も濡れタオルで体を拭いて風を当てるなどの処置を忘れないようにしましょう。

最後に

重症になると、命は助かっても脳や心臓・腎臓などに後遺症が残ることがあります。早いうちに正しく対処できれば回復の可能性は高くなりますので、こまめに様子を見てあげてください。夏休みなどに楽しい計画を立てていらっしゃる方も多いかと思います。熱中症をしっかり予防して、これから来る暑い夏を、事故無く元気に過ごしましょう!

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