獣医がん学会に出席してきました

獣医師の佐藤です。1月30日から31日、大阪で行われました日本獣医がん学会へ出席してきました。「学会」と言われても、一般の方には何のために何をしているところなのか、よく分からないと思いますのでご説明いたしましょう。

獣医療の世界は本当に素晴らしいスピードで進歩していると実感します。私が獣医師になった10年くらい前と比べると、多くの治療法が生まれ、また多くの古い治療法が取って代わられていきました。昔の常識がいつの間にか変わっている、ということも少なくありません。これまで診断できなかった病気が町の動物病院でも分かるようになってきたり、これまで治せなかった病気が治せるようになってきたり、そんな経験を何度もしてきました。

だから、私たちは大切な家族の一員である動物の健康を守るプロとして、新たな知見を吸収し続ける必要があるのです。

学会では、その道の専門の先生が私たち町の動物病院の獣医師たちのために分かりやすく指導をしてくれる教育講演という場や、最新の治療法を紹介する場、より良い治療のために専門家同士が真剣に議論をする場などで盛り上がります。

今回私が出席したのはがん学会と呼ばれる腫瘍の専門家の集まる会でした。私も数年前までは二次診療施設の腫瘍科で、CT検査や放射線治療、PET検査などの高度医療ツールを利用した診療チームの一員でしたが、今なお進化し続ける腫瘍治療の最先端を知り、大変感銘を受けてまいりました。獣医療の進歩って、本当に早いんですね。

今回の目玉はニューヨークのアニマルメディカルセンターでご活躍されているChick Weisse先生が今回の学会のために来日されて、IR(インターベンション・ラジオロジー)と呼ばれる先端の治療法について講演されたことです。透視下でのステント留置法や腫瘍に対して動脈から高濃度の抗がん剤を直接暴露させる動注化学療法など、いずれもまだまだ町の動物病院には一般的な治療法ではないのかもしれませんが、今後の発展に期待されます。

このように私たちの病院では、積極的に学会やセミナーへ参加し、動物とご家族にとってより良い治療法がご提案できるように日々努力を続けております。

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