X線検査について

私たち獣医師が診察をするときは五感をフル稼働させています。どうしても動物はしゃべることができないので、自分で具合の悪い場所を教えてくれません。なので飼い主様のお話から、生活環境や経過をお聞きして情報を整理していきます。また直接触れることでお腹の中をチェックしています(触診)。特に体の柔らかい猫であれば、膀胱や腎臓、消化管など、腹腔内の臓器をくまなく確認することが可能です。

ただ、それでも十分に指の届かないところや、骨であったりと、獣医師の指がどんなにがんばっても判断できないポイントがあります。特に胸の中は肋骨で囲まれているので、肺や心臓、胸腔内のリンパ節などの評価はとても難しく、触診や聴診だけでは十分な情報が得られないことがあります。

そこで、X線を利用すると外からでは見えない体の中を見ることができます。胸部のX線検査では、骨格、心臓の形や大きさ、肺、気管、血管、リンパ節など、どれもX線でしか知り得ない情報を評価することができます。水面下でジワジワ進行する心臓の病気や、呼吸器の異常、腫瘍の存在など、見えないものを見えるようにするために、私たちはX線を使って貴重な情報を集めています。

体調がちょっとおかしいときにも、元気なときにも、ぜひご相談ください。

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(よく使われる目的)

麻酔前の評価に
より安全な麻酔計画を立てるために必要です。

心臓の雑音がある子に
心臓の形状や大きさなどの全体像を調べます。
また肺の血管は全身循環の負荷を示唆する重要な所見です。

嘔吐や下痢などの子に
異物や腸の流れが悪くなっている箇所(閉塞など、イレウスとも言います)、ガスの貯留などを評価します。緊急手術の必要な急性腹症を見落とさないためにも重要です。

当院では放射線取扱主任者免許を持つ獣医師が、動物への安全性を保ちつつ、適切なX線の条件の下で検査を行います。正しいX線写真の評価(読影)には、正しいX線の知識と撮影技術が不可欠なのです。

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