「健康診断って何を見てるの?」
「ウチの子こんなに元気なのに病院に来る必要なんてあるの?」
多くの方が不思議に思われるかもしれません。
実は元気な時の健康診断には、元気な時にしか分からない貴重な情報がいっぱい含まれています。
今日はその中でも「体重」についてお伝えしてみようと思います。
病院に来られたことのある方ならご存知とは思いますが、
診察室に入ったら、まずは体重測定から始まります。
実はこのときすでに、動物の健康診断は始まっています。
通常、動物の体重は短期間のうちにそんなに大きくは変動しません。
どれだけの期間にどれだけ体重が変化したのかをチェックします。
もし短期間のうちに大幅に体重が増えたり減ったりしていた場合は、
何らかの原因があると考えた方が良いでしょう。
たとえばフードを変更した、お散歩など運動時間が減ったなど、
比較的分かりやすい原因もあるかもしれません。
しかしながら、飼い主様にもまったく心当たりのない、
原因不明の体重増加や体重減少には注意が必要です。
いずれも実際にあった話なのですが、
たとえば、最近ちょっと太ったかなーと思ってたら、
腹水が溜まって体重が増えていた、とか。
ちょっと痩せたかもしれない、と思ったら、
ホルモン病(甲状腺ホルモンが出過ぎる病気)だった、とか。
私たち獣医師が診察室で診察ができる時間はほんのわずかで、
多くの時間はご家族と一緒に生活しています。
なので、一緒に生活をしている飼い様が、
その子の一番の理解者であることでしょう。
毎日一緒にいるからこそ、ほんのちょっとした些細なことが、
大きな病気の発見につながることがいっぱいあります。
一方で、「毎日一緒にいるからこそ飼い主様には気づきにくいこともある!」と感じています。
毎日の生活の中でゆっくりとしか現れてこない小さな変化は、
どうしても見落とされがちです。
逆に、たまにしか会わない獣医さんだからこそ分かることがあると思っています。
体重は、非常に客観的な数値の記録です。
実際、ペットの高齢期に気をつけたい病気の中には、
体重の変化を伴うものがとても多いのです。
たかが体重。されど、体重。
健康診断の入口は体重チェックから。
こうして定期的に体重の記録を残しておくと、
その情報はきっとペットの健康管理の宝物になるでしょう。