先日、院内で麻酔カンファレンスを行いました。
今回は当院の麻酔科顧問でもあります、
長濱正太郎先生をお呼びして同席してもらいました。
麻酔のモニタリング指針においても大事な3要素、
酸素化、換気、循環のうち、今回は換気について勉強しました。
カンファレンスでは看護師さんも必死。
普段見ている麻酔モニターをより詳しく読み解くカギを教わります。
実際の患者さんに麻酔をかけて行う実習パートも行いました。
全身麻酔下での犬の歯周病の治療です。
長濱先生の指導を受けながら、麻酔スタート。
眠っている最中に口のレントゲン写真を撮ってみると、
重度の歯周病のために、歯を支えている顎の骨が溶けてしまっている箇所がたくさん見つかりました。
ざっと見ただけでも処置の必要な歯は一本二本では済まないようです。
今回は長濱先生に歯の処置をするための局所麻酔法、
神経ブロックというテクニックを指導してもらいました。
「眼窩下孔ブロック」は上顎の歯とつながる感覚神経を麻痺させます。
キレイに決まるとほぼ無痛が得られるというくらい強力。
また下顎には「下歯槽ブロック」という局所麻酔法を併用しました。
実際に今回の全身麻酔、ものすごく良かったです。
おだやかにに眠り、処置の最中は痛みによる心拍数や血圧の増減もなく、
何事もなかったかのように平和に麻酔から覚醒してくれました。
処置としては、歯を抜いたり歯肉を縫ったりと、
それなりに強い痛みを伴うことを行っています。
これだけ痛みの強い処置を行うためには、
通常、それだけ全身に強い鎮痛作用のある薬剤を投与するか、
もしくは吸入麻酔などを深くかける必要があります。
ただ、今回の処置の対象は歯だけです。
つまり、歯の痛みさえ感じられないようにしてあげられれば、
全身にたくさんの薬剤を使う必要もなければ、
深い麻酔をかける必要もないのです。
このように局所麻酔を併用することで、
患者さんには穏やかに眠ってもらう程度の麻酔で、
本来痛みの強いであろう処置も、
痛みを感じさせることなく達成することができるのです。
麻酔中の換気の管理法や局所麻酔など、
今回みんなで勉強したことを活かして、
また明日からの診療や手術をがんばろう!と、
スタッフ一同、気持ちを新たにしました。