当院の超音波(エコー)検査

前回はX線検査により見えないところを見えるようにする検査についてお話しましたが、今回は超音波(エコー)検査についてお話しようと思います。

USs7

近年、超音波検査装置のレベルは激的な進化を遂げています。おかげでこれまで診断することができなかったたくさんの病気が、大学病院へ行かずとも町の動物病院でも分かるようになってきました。最新機種の優れた画質や機能は検査の精度を大幅に高めてくれました。

X線が全体像を掴むのに適した検査であるとすれば、エコー検査は臓器一つずつを丁寧に評価するのに適した検査であると言えます。具体的には、腹腔内の臓器であればほぼすべて、肝臓、胆道系、脾臓、腎臓、副腎、膀胱、消化管(胃や腸)、膵臓、腹腔内のリンパ節などを見ることができます。他にも血管系を評価することもできます。

X線検査との違いのもうひとつに、リアルタイムで見ることができる点があります。たとえば、消化管では食べ物や便などの内容物を蠕動運動で運んでいきますが、お腹を壊している子ではこの蠕動運動が低下している様子を見ることができます。当然血管もリアルタイムに見えるので、動脈はドクドクと波打っている様子が分かります。

さらにX線では撮像した範囲全体が影絵として映るため、各臓器の詳細までは分からないことが多いのですが、エコー検査では断面図を得ることができます。昔はお腹を開かないと中を見ることができなかった内臓の様子を、今は開腹せずとも観察することができます。断面図といえばCTやMRIも体の輪切り像を見ることができる検査方法なのですが、動物はじっとしてくれないので、どうしても麻酔をかけなくてはなりません。その点、超音波検査は無麻酔でできる検査ですから、遥かに簡便に検査をすることができるのです。

USprobe

また猫や小型犬でよく使われるマイクロコンベックスプローブで大型犬のお腹の深い部分を見るのはかなり厳しいのですが、当院には大型犬用の低周波プローブもありますので、体の大きいワンちゃんもエコー検査を受けることができます。

私たちの病院では、現在獣医領域では先端機種のひとつであるGE社のLOGIQ S7 Expertという装置を導入し、動物に負担が少なく鮮明なエコー画像を得ることができます。健康診断や腹腔内臓器の異常、心臓病の評価など、様々な用途で活躍しています。

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