フィラリア予防は5月から12月まで

福岡でのフィラリア予防の時期は、蚊の出る時期に合わせて5月から12月までです。

フィラリア予防を行う理由

結論から言うと、「一旦かかると治療が難しく、命に関わる重篤な感染症だから」です。

フィラリアは心臓に寄生する細長いそうめんのような虫です。フィラリアの子虫を蚊が吸って、またほかの犬の血を吸う時に子虫が犬の体に入り、皮膚の下、血管の中と移動し、最終的に心臓へ住み着きます。

フィラリアに寄生されても、初期のころは症状が少ないため気づかれにくいのですが、進行すると元気がなくなったり咳が出たりするようになり、最終的には死に至ります。また、咳や血色素尿などの症状が急に現れて重症化することもあり、その場合の致死率は非常に高くなります。

フィラリア症にかかってしまった場合の治療法として、外科療法(手術で心臓から虫を取り除く)、内科療法(駆虫薬で虫を殺す)などが存在しますが、いずれの方法もハイリスクです。外科療法は、特殊な器具を使用する手術になりますので、どこの病院でもできる治療法ではありません(当院にもご用意がございません)。

駆虫薬を使う内科療法も、心臓に寄生した大量のフィラリアが薬により一斉に死んでしまうことで今度はフィラリアの死体が肺や全身の血管に詰まってしまい、ショック症状を起こしてしまう可能性があります。つまり、一度感染してしまうと良い治療方法がない、というのが実情なのです。

治療はたいへん困難ですが、予防はとても簡単です。5月から12月までの間、毎月薬を飲むだけ(もしくは1回だけ注射するだけ)で良いです。

検査

フィラリア感染があるかどうかは血液を調べればわかります。血液中の子虫を直接、顕微鏡で見つける方法と成虫が出す分泌物を検査キットで調べる方法があり、当院では検査キットを使った「抗原検査」を行います。

5月から始まるシーズン始め、1回目の予防薬を投与する前には必ずこの検査を済ませておく必要があります。というのは、もしフィラリア感染がある子にフィラリア予防薬を使用してしまうと、強烈な副作用が出てしまうからです。

予防薬の種類

予防薬には口から飲むタイプ(錠剤、おやつ)、背中に垂らすタイプ(スポット)、注射タイプがあります。注射だけは効果が1年間ありますが、その他の予防薬は5月から12月までの間、毎月1回使っていきます。

どの薬もフィラリア予防に対する効果は同じで、体内に入ったフィラリアの子虫を駆除します。実は「予防」とはいうものの、蚊に刺されることを完全に防ぐことはできないため、入ってきた子虫が大きくなって体に害を及ぼすことが無いように、心臓に移行する前の子虫のうちに駆除してしまうのが予防薬なのです。

予防薬の選び方

当院では以下のフィラリア予防薬をご用意しております。
価格は例として体重6㎏の場合を記載しています(税込)

  ミルベマイシンA

形状:錠剤

効果:フィラリア、お腹の虫(線虫類)

価格:1404円(体重6㎏)

  イベルメック、カルドメック

形状:おやつ

効果:フィラリア、お腹の虫(線虫類)

価格:1404円(体重6㎏)

  ネクスガードスペクトラ

形状:おやつ

効果:フィラリア、お腹の虫(線虫類)、ノミ、マダニ

価格:2808円(体重6㎏)

  レボリューション

形状:スポット

効果:フィラリア、お腹の虫(線虫類)、ノミ、ミミダニ

価格:2484円(体重6㎏)

  プロハート

形状:注射

効果:フィラリア

価格:10584円(体重6㎏)

効果で選ぶ:

フィラリア予防の薬には、他の寄生虫の駆除効果がついているものもあります。たとえばフィラリア予防が必要な5月からの期間は気候も暖かくなってきて、ちょうどノミやダニも爆発的に増えてくる時期ですので、ノミダニ予防も一緒にできるのはとても便利です。

タイプで選ぶ:

おやつが大好きな子は、毎月の楽しみにおやつタイプ。毎月予防薬を使うのが大変!という子は、1年に1回でよい注射タイプ。食が細くて口からのタイプは苦手、注射は嫌という子はスポットタイプ。など、お薬の形状でもお選び頂けます。

フィラリア症をしっかり予防していきましょう!

ペット保険のアニコムさんの調査によると、犬の平均寿命は犬種にもよりますが小型犬では14.2歳と言われています。35年前の犬の平均寿命は8.3歳で、その頃の死因の多くはフィラリア感染やジステンパーなどウイルス感染症、交通事故、子犬の栄養失調だったと報告されています。

この寿命の延長は、飼い主の方の意識の高まりとともにワクチン接種やフィラリア予防などの予防医療がきちんとなされるようになったこと、室内飼育が多くなったこと、良質なフードが入手しやすくなったことなどが考えられます。それくらい、昔はフィラリア症のために命を落とす子が少なくなかったのです。

この命に関わる重篤な感染症は、一度かかると治療がたいへん困難で厄介な病気なのですが、予防はとても簡単です。ぜひ予防をしっかりとやっていき、愛犬にはずっと元気でいて欲しいものですね。