私たち動物病院の目指すもの
獣医療の世界は進歩が早く、私たちはこれまでに日進月歩の勢いで常識が変わっていくのを目にしてきました。10年前に大学で習った治療法が今では推奨されなくなっているような例もあったりと、めまぐるしい進歩を遂げています。このような獣医療の進歩により、これまで診断できなかった病気が分かるようになり、これまで治療できなかった疾患が治せるようになってきました。
一方で、動物と人間の共生という問題も年々その重みが増しているように思います。少子高齢化時代においてペットを家族として迎え共に生活していくために。未来の世代に動物と過ごす楽しさを伝えていくために。飼育放棄や殺処分される不幸な動物がゼロになるように。
私たちの病院では獣医療の発展に伴い、より良い治療を提案できるように努力をしていきます。また人間社会の中で動物たちと、どうやったらみんなが幸せに暮らせるのか、スタッフ一同で考え抜き、そのために活動をしていきます。
現在、私たちは以下のテーマを重点的に取り組んでいます。
1.より安全な麻酔を、より痛みの少ない鎮痛を
近年の獣医療で劇的に進化したものの一つが麻酔法です。これまで注射麻酔単剤で行われてきた動物麻酔も、人間の医療と同様にバランス麻酔の考えが取り入れられるようになってきました。麻酔薬も人間と同じように安全性の高い薬が使われるようになりました。私たちはより安全な動物麻酔を目指していきます。また、たとえ麻酔で寝ているときであっても患者動物にできる限り痛みを与えないように、より良い鎮痛方法を選択します。
2.猫にもやさしい動物病院に
猫は基本的に怖がりです。ほとんどの猫は動物病院があまり好きではありません。私たちはそのストレスが少しでも軽減できるように、猫の気持ちになって考えていきます。私たちは国際猫医学会(ISFM)の定めるキャットフレンドリークリニックの一員として、猫にも優しい医療のあり方を探していきたいと思います。
3.動物といっしょに幸せに暮らす世界を作るために
人間と動物が仲良く幸せに暮らすことは太古の昔からずっと行われてきたことです。少子高齢化が進む社会の中で、私たち人間の価値観も大きく変化してきていますが、動物たちと暮らすことの豊かさは変わりません。様々な社会問題も叫ばれている今こそ、人間と動物の共生のあり方を見直してみるべきではないでしょうか。私たちは、人間も動物も幸せに暮らしていくために私たちにできることを探していきます。10年後、20年後の社会のために、動物病院から発信できることに取り組んでいきたいと思います。